大阪市西淀川区、住宅街の中にひっそりとたたずむ「姫嶋神社(ひめじまじんじゃ)」は、地元で“やり直し神社”と呼ばれている。「もう一回やり直したい」「自分を変えたい」という人たちが静かに集まる場所だ。
しかし実際に訪れてみると、“やり直す”というより、“ここから始めたい”“新しい自分になりたい”という前向きなエネルギーに満ちていて、「これまでの自分を手放して新しいスタートを切る場所」という空気を感じる。阪神姫島駅から歩いてすぐの場所にあるが、鳥居をくぐった瞬間、ふわっと空気が変わる。きれいな白色の石畳、静かに揺れる木々の音が、どれも心の奥に触れるような優しさがある。


この神社に祀られているのは「阿迦留姫命(あかるひめのみこと)」という女神さまである。この女神さまは新羅の王子と結婚したが、その暮らしに耐えきれず、海を渡って姫島まで逃げてきたそうだ。そのことから「決断と行動の神さま」「美の神さま」として親しまれるようになった。姫嶋神社には戦火を乗り越えた樹齢900年の大樹があり、「再出発の木」として信仰されている。「やりなおし神社」として再出発を願う人の心のよりどころに。だからか、境内にはどこか前を向く人を包み込むような空気がある。



そして、忘れてはならないのが御朱印だ。ここでは3種類の御朱印があり、季節でデザインが変わるもの、毎月1日だけの限定のもの、通年いただける定番のものがある。中でも「玉印」と呼ばれている御朱印は、赤い玉がぽんぽんっと押されていて、なんとも可愛らしい。赤色は通年いただけて、季節ごとに色が変わり通年の色を含め計5つの色がある。御朱印の授与は、平日は直接記帳してもらえるが、土日祝は紙でのお渡しのみだ。これは、きちんと手書きされたものなので温もりがある。「御朱印帳に書いてほしい!」という方には、後日郵送での対応も可能でしっかり想いに応えてくれる。 どん底の日も、迷っている日も、うまくいった日も、なんか立ち寄りたくなる神社である。“やりなおす”は弱さではなく、立派な“選択”である。そんなことをそっと教えてくれる姫嶋神社は、新しい一歩をちゃんと見守ってくれる場所。
- 姫嶋神社
- 住所:大阪市西淀川区姫島4-14-2
- アクセス:阪神電車『姫島駅』から西へ徒歩6分