生駒山のふもと、緑に包まれるようにたたずむのが「枚岡神社(ひらおかじんじゃ)」。 奈良にある春日大社のはじまりの地(元春日)と言われ、河内国一之宮としてこの地を守り続けてきた石切神社と合わせて参拝する人も多く、由緒ある神社だ。石切さんから横に20分ほど歩いたらたどり着くもう一つの神社である。創建はなんと神武天皇の時代までさかのぼるそうで、本当に歴史深い神社だ。長いあいだ地元の人に大事にされてきたのが、境内の落ち着いた空気からも伝わってくる。


大きな鳥居がドンっとそびえたっていて、本殿までの参道は木々に囲まれており、歩いているだけで心がスーッと整うような感じになる。駅からすぐとは思えないほど、静かでまるで別世界のようだ。地元の人に聞くと、朝早く訪れると猫にも会えるらしい。
拝殿に近づいたら、次に待っているのは階段だ。これがなかなかしんどい。回り道をしたら、坂を登って本殿にも行けるが、やっぱりちゃんとした正面から行きたくなる。この階段は大変だが、周りは緑に囲まれて、涼しい風がさーっと入ってそれがまた気持ち良い。


枚岡神社のご利益は「開運」、そして「はじまり」のパワーをくれるとも言われている。たとえば新しいことを始めるタイミングや、気持ちを切り替えたいときにぴったりの神社だ。毎年12月には「注連縄掛神事(しめかけしんじ)」が行われ、その中でも「お笑い神事」という、笑って厄を落とすユニークな行事が有名である。お笑いコンテストなども開催されていて、『大阪らしさ』があってとても魅力的だ。みんなで笑うというのは、気持ちも明るくなる。


枚岡神社の御朱印は墨で力強く書かれた文字に、神社の神聖な雰囲気がそのまま閉じ込められているような感じだ。いただいた瞬間、御朱印帳がピシッと引き締まり、自分の中にも一本芯が通ったような気持ちになる。しかも、神職さんが一枚一枚ていねいに書いてくださるので、ただの記念ではなく、“ご縁を結ぶ証”として大切にしたくなる一枚だ。ただ、時間帯や日によっては御朱印の受付をしていないこともあるので、事前に確認を忘れないように。枚岡神社は何かの一歩を踏み出す前に、少し立ち止まって深呼吸してみてほしい神社である。
- 枚岡神社
- 住所:大阪府東大阪市出雲井町7番16号
- アクセス:近鉄奈良線枚岡駅下車すぐ