「JR総持寺」駅から5分くらい線路に沿って歩くと、ひっそりと静かに佇む「総持寺」に着く。ここは、西国三十三所巡礼の第二十二番札所として、昔から多くの巡礼者が足を運ぶお寺だ。都会の喧騒から少し離れた茨木市の住宅地の中にあるが、その存在感はしっかりとある。門をくぐった瞬間に、空気がガラッと変わるのがわかるのだ。
総持寺の本尊の千手観音菩薩は“人々の苦しみを広く救ってくれる仏様”として信仰を集め、千本の手と千個の眼を持っており、総持寺の観音様は、子育て観音様、厄除け観音様とも呼ばれている。



木造の本堂にて、丁寧に手を合わせる巡礼の方々の姿を見ると、今も昔も変わらずこうして祈りを続けてきたのだなあとしみじみ感じる。境内は、本当に手入れが行き届いていて、草木の緑も清々しい。近所の親子が遊びに来ているのも目にした。石畳を踏みしめながら歩いていると、どこか懐かしいような、子どものころに連れられてお寺参りした記憶がふっとよみがえる。昭和の住宅街にあったようなお地蔵さんとか、ベンチに座っているおじいちゃんとか、そういう風景や空気感がここにはある。



忘れてはならないのが、納経帳への御朱印(納経印)である。毎年4月から限定の御朱印がもらえるらしく、枚数限定で配っているようだ。通年もらえる御朱印は、紙で貰えるもので、目の前で今日の日付を入れてくださる。書いているところを見ることができるのはなかなかない体験だ。ご本尊の千手観音のご縁日である毎月18日に参拝すると、特別感も感じられるかもしれない。


個人的には、山門の木組みや屋根瓦の曲線がとても好きだ。こういうところに“時代を越えて残る日本の美”があると思う。
街歩きの途中でふらっと立ち寄っても良いし、本気の巡礼としても立ち寄れる、懐の深いお寺だ。静かで、穏やかで、でも芯がある。そんな場所が、今もちゃんと生きていることに、心強さを感じられる。
- 総持寺
- 住所:大阪府茨木市総持寺1-6-1
- アクセス:阪急電車京都線 総持寺駅下車(普通各停のみ停車) 徒歩5分