御霊神社 創祀は、平安時代に書かれた八十嶋祭の祭場。千年以上の歴史がうかがえる。

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御霊神社 創祀は、平安時代に書かれた八十嶋祭の祭場。千年以上の歴史がうかがえる。

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 大阪・淀屋橋の真ん中。スーツ姿の人々が行き交い、高層ビルが立ち並ぶオフィス街の路地を歩いていると、ふっと風景が切り替わる瞬間がある。ビルの谷間に、ひっそりと佇む「御霊神社」。地元の人からは「御霊さん」と呼ばれて親しまれており、まるで時間の流れがゆるやかになるような不思議な空間。朱色の鳥居が目に入った瞬間、「あ、神社だ」と自然と背筋が伸びる。かすかに香るお線香のにおいが、子どものころに親と出かけた近所の神社をふと思い出させる。境内に一歩入ると、すぐ近くを車が走っているはずなのに、本当に音が消える。不思議なくらい静かで、心がスッと落ち着く。

御霊神社は、平安時代から続く由緒ある神社。災い除け、商売繁盛、交通安全など、いろんなご利益があると言われているが、それ以上に、この神社には“暮らしに根ざした安心感”がある。お詣りに来たサラリーマンが深く一礼して帰っていったり、近所のおばちゃんたちが井戸端会議をしていたり。そういう日常の中にこの神社が溶け込んでいて、「良いなぁ」と思わせてくれる。

そして、ここに来たらぜひいただいてほしいのが御朱印。ここの御朱印は、西暦と一緒に“皇紀”が併記されているが、これはかなり珍しい。皇紀は、神武天皇が即位したとされる年を起点とした日本独自の年号のことで、今ではあまり使われていない。そんな歴史の香りがギュッと詰まった御朱印は、見た瞬間に「これは良いものをいただいたな」と思わず声が出るくらい味わい深い。墨のにじみもまた風情があり、そこがまた魅力。

また、季節によって境内の雰囲気がガラッと変わるのも魅力のひとつ。春には桜が境内を彩り、ひらひらと舞い落ちる花びらの中を歩いていると、まるで昭和の映画に入り込んだような気持ちになる。ぼーっと風に吹かれながら過ごす時間は、都会の中とは思えないほど穏やかで贅沢だ。

御霊神社は、何か大きな目的があって行く場所というより、「ちょっと立ち寄ってみた」くらいの気軽さが魅力である。でも、その“つい”の時間が、知らず知らずのうちに心を優しく整えてくれる。どんなに時代が変わっても、こうした場所が近くにあるだけで、心がほっとする。

御霊神社
住所:大阪市中央区淡路町4-4-3
アクセス:地下鉄御堂筋  淀屋橋駅  13番出口より 徒歩5分
https://www.goryojinja.jp/index.html

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