曽根崎のお初天神と言えば、日本一の浄瑠璃作者 近松門左衛門の代表作「曽根崎心中」の舞台。北新地の遊女お初と醤油問屋平野屋の手代 徳兵衛の道ならぬ恋の旅路の最後の行き先となった場所であった。お初天神の名前もその遊女の名にちなむ。近松は当時、実際に起きた心中事件を題材としてこの物語を書いた。二人の仲を引き裂こうとする親族への義理や友の裏切りに追い詰められて、遂には一緒に死ぬことを決意する。その一途な恋にあやかろうと今では恋人たちの聖地として、国内だけでなく海外からもカップルが訪れるらしい。実際、昼も夜も、愛し合う男女や恋の成就を願う女性たちが静かに祈る姿を見ることができる。事件のあった江戸時代中期、この辺りは天神の森と呼ばれ、社殿の裏には鬱蒼とした森が広がっていたそうや。お初と徳兵衛はその森に手に手を取って入っていき、二人してあの世へと旅立ったのだという。今は賑やかな商店街が続き、その先には梅田の繁華街がある。往時の姿は見るべくもないが、目を凝らすと社殿とその奥のビルの間に高い樹が数本、聳えているのがわかる。あれが昔の森にあった樹々たちの生き残りなのかもしれない。どうかお初と徳兵衛が森の彼方に夢見た二人して自由に生きられる世界に、生まれ変わって幸せになっていてほしいもんやね。※これは2024年12月現在の情報です。(G.I)

住所:大阪市北区曽根崎2-5-4
アクセス:JR大阪駅から徒歩約8分
https://tuyutenjin.com/

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