●概要:大川のほとり、桜並木に包まれるように静かに佇む一棟の洋館――それが旧桜宮公会堂である。竣工は昭和8年(1933年)。威風堂々たる竜山石造りの正面玄関は、明治4年(1871年)に建てられた旧造幣寮(現・造幣局)の正面玄関を移築したものであり、現存する近代建築として日本最古級の歴史をもつ。玄関部分は、建築当時の意匠をほぼそのまま残しており、重厚な装飾や石材の質感には往時の技術と美意識が息づく。この貴重な構造は、建築的・歴史的価値が評価され、国の重要文化財に指定されている。


また、明治天皇記念館としても使用された経緯があり、館内には当時の金庫も展示されている。2013年4月に内装をリノベーションし、現在の姿へと生まれ変わった。外観の歴史的価値を損なうことなく、館内には現代の利便性と快適さを融合させた空間が広がっている。



●レストラン:現在、旧桜宮公会堂はレストランおよびバンケット施設として一般に開かれている。クラシカルなインテリアに囲まれたダイニングでは、工夫を凝らしたフレンチコースが味わえ、前菜からメイン、デザートに至るまで、洗練された一皿が並ぶ。取材時に食した「明治の饗宴」というコースは、明治天皇の大阪行幸に関する資料を手掛かりに、料理長が試行錯誤しながら往時のフレンチを再現。爽やかな風味が口いっぱいに広がる「豌豆ポタージュ」から、「蒸鮭凍凝物(むしさけよせもの)」、「白葡萄鮭蒸鴨シャンピニオン添え」、「牛酪焼牛肉」、そして「プティング」。そのどれもが上品かつ繊細でありながら、どこか懐かしさも感じられる品々で、一気に明治時代へタイムスリップできた。






●結婚式場:旧桜宮公会堂は、結婚式場としても高い評価を得ている。着席120名、立食250名まで対応可能なバンケットホールは、クラシカルな雰囲気とモダンな設備が融合した上質な空間である。館内には音響設備や大型プロジェクター・モニターも完備されており、披露宴やパーティーなど幅広い演出に対応可能。重厚で静謐な建物と、やわらかな自然光に包まれた空間。ここでの挙式は、大正ロマンの香りをまといながら、かけがえのない時間をかたちに残す。歴史が重ねた風格の中で、人生の節目がやさしく祝福される――それが、旧桜宮公会堂で叶う結婚式の魅力である。
- 住所:大阪府大阪市北区天満橋1-1-1
- アクセス:JR環状線「桜ノ宮駅」より徒歩9分 JR東西線「大阪天満宮駅」より徒歩9分 地下鉄堺筋線・谷町線「南森町駅」徒歩10分 ※ランチ営業:11:30-15:30(L.O.14:30) ご予約はホームページよりご確認ください