生國魂神社 難波における国土鎮護の祭祀に起源を持ち「生國魂造」という独自の神社建築形式を有す

生國魂神社 難波における国土鎮護の祭祀に起源を持ち「生國魂造」という独自の神社建築形式を有す

大阪市天王寺区にある生國魂神社は、地元では「いくたまさん」「難波大社」とも呼ばれる。古くから浪速の鎮守・総社的な役割を果たしてきた神社だ。伝承では非常に古く、難波(浪速津)における国土鎮護の祭祀に起源を持つとされる。戦国末期〜安土桃山期、豊臣秀吉が大阪城を築く際(1583年ごろ)に社地が現在地へ移されたと伝えられる。

太平洋戦争の空襲等で被害を受けた後、戦後に主要建物は再建された。現在の本殿・幣殿・拝殿などは1956年(昭和31年)に再建された部分が大きく、構造にコンクリートが使われているが、桃山期の造形を復元する形で再興されている。本殿と幣殿を一つの大屋根で覆う特異な構造を持ち、「生國魂造(いくたまづくり)」と呼ばれる。屋根は流造を発展させた形で、正面に三つの破風(千鳥破風・唐破風・千鳥破風)を並べる豪壮な意匠が特徴。このような形式は全国でもほぼ唯一で、桃山期の華やかな建築文化の影響を強く示している。

境内には多くの摂末社(12社前後とされる)や末社がまとまり、各社の社殿もコンパクトながら様々な様式を見せており、地域信仰・民間信仰との結びつきが見られる。

生國魂神社は、「生國魂造」という独自の神社建築形式を伝える唯一の例として注目されている。桃山文化の豪華さを伝える意匠と、大阪城下の守護神としての歴史的背景が融合しており、学術的にも貴重な存在である。神社仏閣やパワースポット、歴史や建築に関心がある人はぜひ立ち寄ってほしい。(かの)

生國魂神社
住所:大阪市天王寺区生玉町13-9
アクセス:大阪メトロ谷町九丁目駅から徒歩2分
https://www.ikutamajinja.jp/

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