カフェ「Salon de AManTo天人」は、緑が生い茂る鬱蒼とした外観で、ほかとは一線を画している。築143年の長屋を改装していて、枠組みも内装もほぼベースは当時のまま。なかには、元は押し入れだった客席もあり、壁には湿気除けに入れたであろう当時の新聞が、色移りして残っている。お茶をしながら壁に書かれた昔の出来事を読んでみるのもおもしろい。
さらに、この店にはかつての住人との深いエピソードがある。元々ここには、あるおじいさんが暮らしていたが、病気を患って家を引き払った。その時に「自分が亡くなったら開封するように」と1本のお酒を隣人に託していたそう。改装前から掛かっている日めくりカレンダーが「1991年10月19日」であることから、毎年10月19日~20日をオールナイト営業にして、「おじいさんが捲れなかったひめくりの日」という記念日に。隣人から譲り受けたおじいさんのお酒を、来店するお客さんに少しずつ分けて、この家を残してくれたおじいさんへの感謝を忘れないようにしているという。
「サロン・ド・アマント天人」は、カフェという枠を超え、コミュニティサロンとして人々の縁をつなぐ場所。おじいさんから生まれた縁も大切にしているからこそ、店内では心温まる時間を過ごせる。地元の人から世界中のアーティストまで、多くの人から愛されているお店なんだと感じる。
※これは2023年12月現在の情報です。(M.M)
- 住所:大阪市北区中崎西1-7-26
- アクセス:OsakaMetro谷町線 中崎町駅4番出口から徒歩3分
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