中崎町の長屋が連なる細い道を歩いていたら、ふいに目に留まった雑貨屋「ANDANTE(アンダンテ)」。どこか懐かしさを感じさせる、たたずまい。自動ドアでもなく、ドアが開いているわけでもない、自分で押すドア。「グッ」とちょっと力を入れて扉を開けると、そこはまるで時間がふわっと巻き戻るような、不思議な空間。店内はこぢんまりしているけど、ところ狭しと並んだ雑貨たちはどれも懐かしくてかわいくて、心がキュッとなる。昭和30〜40年代のキャラクターグッズや文房具、レトロな包装紙に小物たち…ひとつひとつに時代のぬくもりが詰まっていて、「これ、うちにもあったわ!」って思わず声が出そうになる。棚の奥の方から、昔大事にしていた引き出しをのぞき込むみたいな気分になるし、ゆるく流れるラジオの音がまた、ええ味出してる。静かな空気の中に、カサッと紙がこすれる音や、棚をそっと開ける音だけが響いていて、なんや落ち着くんよね。店主さんはとても穏やかで、物静かな雰囲気の方やった。にこっと微笑んで、必要な時だけそっと声をかけてくれる。押しつけがましさもなくて、お店の空気の延長線上にいるような、そんな存在。この人がひとつひとつ、丁寧に集めはったんやろうなぁって思うと、なんや商品にもやさしさが宿っている気がする。不思議なことに、昔「かわいい」と思っていたもんって、大人になってもやっぱりかわいいままなんよな。忘れていたようで、ちゃんと心の中に残ってた。その感覚にふっと触れたとき、「ああ、自分ってこういうのが好きやったな」って、ちょっと安心する気持ちになるんよ。ひとりで静かに訪れるのもええし、昔の友達と来て「これ覚えてる?」って盛り上がるのもアリ。日常の中で忘れていた“ときめき”を、そっと取り戻せる場所やで。(ne)
- 住所:大阪市北区中崎2-2-13
- アクセス:OsakaMetro谷町線 中崎町駅から徒歩約1分