大阪市天王寺区茶臼山にある大阪市立美術館の起源は住友家の寄付にさかのぼる。大正時代、住友家は大阪市に住友家本邸跡地(天王寺茶臼山の地)と、その敷地内の慶沢園(日本庭園)を寄贈した。第一次世界大戦や昭和初期の不況の影響で計画が遅れたが、1936年(昭和11年)に「大阪市立美術館」が開館。構造は鉄筋コンクリート造、地上3階・地下1階。


大阪における本格的な公立美術館として誕生し、東京の「東京府美術館(現・東京都美術館)」に続く、日本の代表的な公立美術館の一つとなった。所蔵品は、住友家をはじめとする個人・団体からの寄贈や寄託で充実している。特に中国絵画・日本古美術のコレクションは国内有数である。

昭和初期のモダン建築でありながら、日本的意匠を部分的に取り入れているのが特徴だ。たとえば、屋根まわりや外壁に和風の要素を組み込んでいる。外観は直線的で重厚なモダンデザイン。石造り風の壁面が美術館らしい落ち着きを与えている。内部空間は天井の高い展示室を備え、自然光を取り入れる工夫がなされている。



戦時中は空襲の被害を受けながらも建物は残り、戦後は再び市民に開かれた。戦後から現在に至るまで、国内外の名品を集めた特別展を多数開催し、大阪の文化発信拠点として役割を担っている。平成27年には国の登録有形文化財に登録された。

近年の改修では、開館当時の天井と天井に隠れていた梁が発見された。この迫力ある梁を活かす形で、ホール天井が整備されている。展示品に負けないほどの建物自体の値打ちがある大阪市立美術館をぜひ訪れてほしい。(かの)
- 大阪市立美術館
- 住所:大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-82 (天王寺公園内)
- アクセス:Osaka Metro天王寺駅 約400m
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