職種の垣根を越えて、先祖代々同じ商売を守り継ぐ「大阪老舗」

御菓子司 高岡福信 400年の刻を紡ぐ浪速最古の暖簾

00:00
00:00
※再生ボタンを押すと、ナレーションが再生されます。

職種の垣根を越えて、先祖代々同じ商売を守り継ぐ「大阪老舗」

御菓子司 高岡福信 400年の刻を紡ぐ浪速最古の暖簾

00:00
00:00
※再生ボタンを押すと、ナレーションが再生されます。

大阪・淀屋橋のオフィスビルが立ち並ぶ道修町の一角に、静かに時を止めたような店構えを見せるのが「御菓子司 高岡福信」である。ここは、大阪市内で最古と言われる、1624年(寛永元年)創業の超老舗和菓子店だ。高岡福信のルーツは、江戸時代をさらに遡る。初代は、太閤・豊臣秀吉の御膳預かり(点心御用)を務めていたと伝わる。大坂夏の陣を経て、江戸初期に現在の「高岡福信」として創業した。実に400年を超える歴史である。

現在は17代目の当主がその暖簾を守っている。けっして広いとは言えない店内には、徳川幕府への献上や、京都御所への調進など、歴史の表舞台で菓子を供し続けてきた誇りが息づいている。クリーム色の外壁には、創業の年にちなんだ「寛永通宝」のレリーフがあしらわれており、歩む者にこの店の気の遠くなるような歴史を静かに語りかけている。

この店の代名詞であり、多くの食通を虜にしているのが「酒饅頭」である。市販の酒饅頭とは一線を画し、イーストや膨張剤に頼らない古式ゆかしい製法を貫いている。数日間かけて麹ともち米を寝かせ、甘酒を作るところから始まる。その日の気温や湿度に合わせて発酵を見極める生地は、まさに「生き物」である。蒸したての饅頭を頬張れば、糀特有の甘酸っぱい香りと、もっちりとした力強い弾力が口いっぱいに広がる。中に包まれた小豆の自家製餡は、上品な甘さで生地の風味を引き立てる。店頭のレトロな温蔵庫の中で、ホカホカと温められた状態で提供されるのも、昔ながらの風景である。

酒饅頭以外にも本わらび餅など、この店には歴史と技術が凝縮された季節を彩る銘菓が揃っている。高岡福信は、豊臣の時代から現代へと400年以上続く、大阪の「食」の根底を支える文化財そのものと言えるだろう。※2026年1月時点の情報です。(かの)

住所:大阪市中央区道修町4丁目5−23
アクセス:OsakaMetro御堂筋線淀屋橋駅から徒歩2分

MAPを見る

投稿されたコメント
投稿フォーム

CAPTCHA


ノスタルジック探訪を見る