「大阪本家駿河屋」は、室町時代に始まる駿河屋の流れを汲む羊羹の老舗だ。天保八年(1837年)、紀州徳川家御用菓子司であった総本家の三男・岡本善三郎が、大坂・船場淡路町で分家として創業。以来180年以上、商都の旦那衆に愛される格式高い和菓子を届けてきた。

その伝統を支えるのは、「素材にかなう技術はない」という職人哲学。北海道産の大納言小豆や最高級の寒天など、選び抜いた素材を自家製餡で仕上げることにこだわる。江戸時代、大坂城御用菓子司として仕えてきた際に使われた、代々受け継がれる手書きの「菓子見本帳」には、季節の意匠や歴代の菓子が美しく描かれ、職人たちの知恵と美意識が息づいている。効率よりも本質を、流行よりも誠実さを選ぶ姿勢が、駿河屋の味を“文化”として今に伝えている。

そして2021年、六代目当主・岡本全晃氏のもとで誕生した新ブランド〈駿 surugaya〉が、伝統を未来へとつなぐ新たな一歩となった。洗練されたスタイリッシュな空間に並ぶ看板商品の「善三郎羊羹」や「どら焼き」は、長く培った技をベースに現代の感性を加えた逸品だ。スティックタイプの「小形羊羹」には、抹茶ピスタチや瀬戸田レモンなど個性的な味も並ぶ。伝統を守るだけでなく、“進化させて伝える”という理念のもと、古くて新しい羊羹の姿を世界に発信している。室町から令和へ、その一棹には五世紀の時を超えて受け継がれる日本の美意識が練り込まれている。

※これは2025年12月現在の情報です。(G.I)
- 住所:⼤阪市北区紅梅町2-17〈駿 surugaya南森町本店〉
- アクセス:大阪メトロ堺筋線南森町駅から徒歩約5分、JR東西線大阪天満宮駅から徒歩約5分
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