弁天埠頭ターミナル跡の廃墟を思わせるビルの階段を恐る恐る2階に上がる。長い廊下には電灯がついておらず、窓からの自然光だけが頼りだった。よく見ると、一番奥の右手にオレンジ色の摺りガラスから仄かな明かりが漏れていた。近づくと中で人が動いている。思い切って扉を開くと年配の男性が一人で作業をしていた。「ここで何をされているんですか?」「バーをやっています」表には何の案内もなかったので、てっきり孤高の芸術家がオブジェか何かを創作しているのかと思った。カウンターの壁面にはレトロなおもちゃが並ぶ。コーヒーを注文するとその場で手挽きした豆をドリップしてくれる。なんともいえない超レアな存在感が漂う。全国どこを探しても見つからない希少なバーだ。きっとレトロ好きをうならせるに違いない。マスターはコピーライターで、窓際のテーブルが仕事場だという。窓の外側にはフェリーを見送る人々が佇むデッキがあったらしく、広い窓からは青い海を見下ろすことができる。夏になると対岸のネオンが光り輝く夜景も美しい。 ※これは2025年1月現在の情報です。(G.I)
- 住所:大阪市港区弁天6-7-15 加藤汽船2F
- アクセス:JR弁天町駅から徒歩約13分
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