空堀は大阪都市部でありながら奇跡的に戦災を免れ、大正や昭和の長屋・町家が今も残る地域。歴史的建築を再活用した店舗が多く、商業施設「惣」もその一つである。築120年以上の長屋を利用した、空堀の長屋再生プロジェクトの先駆けとなった建物で、現在は飲食店や雑貨屋など10店舗が集っている。

 
北長屋。現在は5つのテナントが入る
「厨子二階」の部分。植物は植えたものではなく、自生したもの

惣は大正2年築の北長屋と昭和期築の南長屋から成り、改修後も往時の特徴を色濃く残す。北長屋に見られる「厨子二階」は二階の天井や窓が低く平屋に見える構造で、平民が身分の高い者を見下ろさないための当時の工夫だ。また、隣がつながった長屋であるため、建物の傾きを直さず、現在も約10度ほど傾いたまま固定し、センターコアの壁ごと”巨大な柱”とすることで、構造的に安全にしているという。元の建物を活かしつつ、時代背景までも今に伝える点が非常に興味深い。

床下から見つかった明治時代の送り状
傾いた柱を壁にして強度を上げる工夫を施している

実はこの建物、一時は解体されて駐車場になる予定だった。しかし相談の場に長屋再生プロジェクトの六波羅氏が偶然居合わせ待ったをかけた。大家さんとの交渉を経て複合ショップ化の計画が始動。想定以上の老朽化による予算オーバーなど多くの困難に見舞われたが、プロジェクト参加者たちが DIY などで手を出し合いオープンへと漕ぎ着けた。

「惣」開業時の写真
テナントの一つ「着物バー ミュゼ」は、長屋の雰囲気を感じられる空間

「惣」とは本来、江戸時代の大坂における町衆の自治組織を指す言葉だ。その名の通り人々が協力して作り上げられ、現在のテナントもまちづくりに協力しながら街の新たな歴史を刻んでいる。長屋の歴史を受け継ぎ地域に深く根ざすこの場所で、空堀の過去と現在をぜひ体感してほしい。※2026年7月時点の情報です。(R.N)

住所:大阪市中央区瓦屋町1-6-2
アクセス:OsakaMetro谷町線「谷町六丁目」駅・OsakaMetro長堀鶴見緑地線「松屋町」駅から徒歩約6分
https://www.so-karahori.com/

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