たこ梅は、弘化元年(1844年)創業の上燗屋。上燗屋とは、日本酒を45度以上の「上燗」にして提供する飲食店や行商人のことで、当初は売り歩く形で始まったという。”日本一古いおでん屋”とも呼ばれ、戦災で店舗の場所は変わったものの、大阪・ミナミの地でその暖簾を180年以上守り続けてきた。

名物の関東煮(かんとだき)。グツグツと美味しそうに煮える
店内には、出汁の良い香りが広がる

店名は、店の造りと接客の様子に由来する。できた当初、コの字型のカウンターがある店を、真ん中に店主が立って、お客さんの求める声に合わせて四方八方に手を伸ばす様が「まるで蛸のようだ」と”たこ○○”と呼ぶ流行りがあった。そこで、創業者の梅次郎さんの名から1文字取り、「たこ梅」と名付けられたのだ。

このお店に建て替えた昭和24年からある柱。橋の欄干を模している
昔使われていた錫の酒器なども飾られている

店に入ると、まず看板商品の関東煮(かんとだき)の香りに魅了される。出汁は創業時から継ぎ足しされたもので、前日の出汁を濾して翌日に引き継ぎ、味を整えて使い続けるスタイルを実直に守る。大根やこんにゃく、名物のさえずり(鯨の舌)など、さまざまな素材の旨みが幾重にも積み重なった出汁で味わう関東煮は、まさに店の歴史を体感できる逸品だ。

さえずり(鯨の舌)・たこの甘露煮・上燗の3点セット。初めての方は注文必須!

会計が札で管理されているのも乙な雰囲気

創業時から変わらない「たこの甘露煮」や「上燗」も外せない名物。甘露煮は、絶妙な柔らかさに仕上げられ、嚙めば嚙むほど甘辛い味わいが口に広がる。上燗は、昔から変わらない錫の燗タンポとコップで供される。カウンターに身を預け、関東煮・甘露煮とともにいただけば、店の情緒的な雰囲気とともに格別なひとときに酔えるだろう。

上燗を温める酒燗器も雰囲気を感じさせる
多くの文豪も訪れた歴史あるお店にぜひ

一見、老舗らしい外観に入りにくさを感じるかもしれない。しかし、いざ入ってみるとスタッフが温かく迎えてくれるアットホームな空間が広がっている。江戸の世に想いを馳せられる一軒で、180年の歴史を感じてほしい。※2026年6月時点の情報です。(R.N)

住所:大阪市中央区道頓堀1-1-8
アクセス:近鉄難波線「近鉄日本橋」駅から徒歩約4分/OsakaMetro千日前線「なんば」駅から徒歩約8分
https://takoume.jp/

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