美と技を愛でるレトロ建築

今橋ビルヂング 消防署の記憶を刻む、国登録有形文化財

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美と技を愛でるレトロ建築

今橋ビルヂング 消防署の記憶を刻む、国登録有形文化財

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大阪・淀屋橋。オフィスビルが整然と並ぶ今橋通において、一際小ぶりながらも強烈な存在感を放つ近代建築がある。それが今橋ビルヂングである。そのルーツは、1925年(大正14年)に竣工した大阪市中央消防署今橋出張所にさかのぼる。大阪が「大大阪(だいおおさか)」と呼ばれ、ロンドンやパリに比肩する世界的な大都市へと急成長を遂げていた時代。このビルはその時代の息吹を伝える証人である。

今橋ビルヂングの外観
今橋ビルヂングの2~3階

1996年(平成8年)にその役割を終えるまで、約70年間にわたりこの地域の安全を支えてきた。2005年に大阪市の財政改善策の一環として民間に払い下げられたが、貴重な建築を惜しむ声に応える形で、リノベーションを経て再生された。現在はイタリアンレストラン「ダル ポンピエーレ(イタリア語で『消防士』の意)」が入居し、建物の歴史的な雰囲気を活かした営業を行っている。

今橋ビルヂングのバルコニーと警告灯
今橋ビルヂングのバルコニー下

2階と3階を貫くように配置された大きなアーチ窓は、中世英国のチューダー様式を彷彿とさせ、小規模なビルでありながら威風堂々とした趣を与えている。外壁のバルコニー下には、かつて消防署であった証として、当時の赤い警光灯が今もなお残されており、夜には静かに灯りがともる。歴史的価値と、活用を通じた保存の取り組みは、公的にも高く評価され、2007年に国登録有形文化財に指定。2014年には、大阪市「生きた建築ミュージアム・大阪セレクション」にも選定された。

今橋ビルヂングの側面

かつて消防車が飛び出していったその場所で、今はワインの香りと談笑が漂う。今橋ビルヂングは、大阪という街が持つ「古いものを大切にしながら、新しい価値を見出す」という精神を、そのレンガ色の壁に深く刻み込んでいる。※2026年1月時点の情報です。(かの)

住所:大阪市中央区今橋4-5-19
アクセス:OsakaMetro御堂筋線「淀屋橋」駅から徒歩約3分

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