創業は1927(昭和2)年。当時は四天王寺の門前町東門筋にあったが、戦災で焼失したため現在の桃谷に移転した。店名は、「気軽な手土産にしてほしい」という気持ちを込めて、熨斗などに書く「松の葉(“ほんのささやかな手土産”の意)」から「本まつばや」となった。

和菓子作りへのこだわりは、卵以外の乳製品を使わないこと。3代目の松下雄一さんは「難易度は高くなりますが、味にごまかしが効かなくなるため、あえてそうしています」と語る。

和菓子の命ともいえるあんこの原料選びや炊き方にも、おいしさの秘訣が詰まっている。小豆は2軒の農家から取り寄せる。1軒は岡山の農家で、寒暖差が激しいカルスト大地で育つため、小豆の旨みが増すのだそう。もう1軒は鳥取の農家で、日本有数の名水で育てられたものを100年近く使っている。実際に店主が現地に行くこともあり、生産者との関わりも大切にしているのだとか。ただ、小豆が良いだけではおいしいあんこはできない。どちらの小豆も一般的なものよりも皮が分厚く、普通に炊くと皮の食感が残ってしまう。そこで本まつばやでは、先代・先々代から受け継がれた技術を使い、皮がパンパンに膨らんで1番薄くなったベストな状態に仕上げる。

お店の商品はどれもユニークなものばかり。独特の食感にファンが全国にいる代表銘菓の「月あかり」をはじめ、月の満ち欠けを表現した「刻(とき)」や、カステラ生地でこだわりのあんこを包んだ「くらだし」など。自分のおやつや大切な人への手土産など、日常のちょっとした瞬間を特別にするお菓子たち。その甘味は口の中に幸せを運んでくれる。※2025年2月時点の情報です。(R.N)

住所:大阪市天王寺区真法院町1-14
アクセス:JR桃谷駅から徒歩約7分
https://www.shop.hon-matsubaya.co.jp/

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