大阪・池田にある「吾妻」は、元治元年(1864年)創業の老舗。”大阪最古のうどん店”ともいわれており、新撰組の池田屋事件・アメリカの南北戦争などが起きた幕末の激動期から160年以上暖簾を守り続けてきた。


この店最大の特徴は、長年作り方を変えることなく、親から子へ代々受け継がれてきた”出汁”にある。教わり方も老舗ならではで、直接ではなく、日常のなかで見ていて覚えたのだという。材料は手に入らなくなったものもあり変わっているものの、変わらぬ製法で、昆布・削り節・薄口しょうゆ・グラニュー糖を、絶妙な配分で煮込んで作り上げる。


人気メニューは、5代目・巽哲男さんが考案した「ささめうどん」。手打ちの細麺に合わせて、こだわりの出汁を餡かけ仕立てにした逸品だ。”ささめ”という名は、文豪・谷崎潤一郎のご婦人・松子さんが食べたことから名著「細雪」に由来するという。


店内には、昔から受け継がれてきた、行燈や会計台、座敷の木枠など、歴史の面影を感じさせる調度品も置かれている。店の雰囲気とあまりにも自然に馴染んでいるため見過ごしそうだが、その時代の証人たちにも注目してほしい。

江戸から令和へと時代は移り変わっても、創業時の味を守り続ける吾妻。「常連さんからの『昔から変わらないね』という言葉が一番嬉しい」と語る6代目店主・巽正博さんが、今日も7代目とともに厨房に立ち、歴史と伝統を次の世代へと受け継いでいく。※2026年5月時点の情報です。(R.N)
- 住所:池田市西本町6-17
- アクセス:阪急宝塚本線「池田」駅から徒歩約9分
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