今や世界中で愛飲されているアサヒビールのルーツは、明治の大阪にある。まだ輸入ビールが多かった1889年、鳥井駒吉や外山脩造らによって「大阪麦酒(ビール)会社」が創立された。これこそが現在のアサヒビールの前身だ。
1891年には大阪府島下郡吹田村(現在の吹田市西の庄町)に吹田村醸造所が完成。その翌年、アサヒビールが発売された。その名には「日出ずる国に生まれたビールであることへの誇り」と、「昇る朝日のごとき将来性、発展性」を願う創業者たちの熱い思いが込められている。


その思いが実を結び、1900年にはパリ万国博覧会で最優等賞を受賞。さらに、日本初の熱処理を施さない瓶詰生ビール「アサヒ生ビール」を発売するなど、品質へのこだわりと技術革新を重ねながら、着実に成長を遂げていった。
1906年には「大阪麦酒株式会社」「日本麦酒株式会社」「札幌麦酒株式会社」の三社が合併して「大日本麦酒株式会社」が発足。さらに戦後、過度経済力集中排除法により、この大日本麦酒株式会社が2つの会社に分割され、朝日麦酒株式会社が誕生した。第三の創業ともいえるこの転機を経て、さらに革新への歩みを加速させていく。
1958年には、日本初の缶容器入りビール「アサヒゴールド」を発売。そして、1987年に登場したのが、世界初の辛口ビール「アサヒスーパードライ」だ。1998年には、日本のビール市場でシェア首位の座を獲得するなど躍進を続けている。

創業の地である大阪・吹田にあるアサヒビールミュージアムでは、“記憶に残る最高の一杯に出会える場所”をコンセプトに、来館者一人ひとりに合う飲み物を最高の状態で提供している。革新を積み重ねてきた同社の歴史にふれたあとに味わう一杯は、明治から続く作り手の思いを感じさせてくれるだろう。

※これは2025年12月現在の情報です。(A. U)
- アサヒビール ミュージアム(吹田工場)※インフォメーション営業時間 9:30~16:50(見学は予約制)
- 住所:吹田市西の庄町1-45
- アクセス:JR京都線吹田駅から徒歩約10分、阪急千里線吹田駅から徒歩約10分































