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小説の主人公のようにめぐる 難波界隈文学あるき

自由軒 大阪を愛する作家が通い詰めた「自由軒」の名物カレー

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自由軒 大阪を愛する作家が通い詰めた「自由軒」の名物カレー

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大阪が生んだ文豪・織田作之助の代表作と言えば『夫婦善哉』や。北新地の売れっ子芸者やった蝶子と梅田新道の卸問屋の跡取り息子やった柳吉。柳吉には妻子がおったが、蝶子と馴染みになって駆け落ちしてしまう。それで父親から勘当されて、蝶子と二人で次々と小商いを始めるんやけど、どれも長続きせえへん。そんな二人のてんやわんやの暮らし振りが難波界隈を中心に展開する。千日前の自由軒は、織田作(愛読者は親しみを込めてそう呼ぶ)が繰り返し足を運んだ洋食屋で、ここでカレーを食べながら『夫婦善哉』の構想を練ったともいわれているんや。

自由軒が難波に創業したんは、織田作が生まれる前の明治43年。当時、盛んになった自由民権運動に新しい風を感じて、「自由」という言葉を店名に取り入れたそうや。店内には織田作の写真と「トラは死んで皮をのこす、織田作死んでカレーライスをのこす」という織田作自身が考えたという一文が記された額縁が飾られている。東京を中心とする文壇の権威に屈することなく、あくまでも大阪の作家としてのアイデンティティを貫いた織田作が愛した店らしい清々しい屋号やね。

「自由軒(ここ)のラ、ラ、ライスカレーは御飯にあんじょうま、ま、ま、まむしてあるよって、うまい」と織田作も『夫婦善哉』の中で、主人公の柳吉に言わせてるように、自由軒のカレーはライスとルーが別れておらず、完全に混ざっているのが特徴や。さらにソースをかけて、真ん中に乗っている生卵をかき混ぜていただく。一見、単調に思えるが、噛むほどに玉ねぎのシャキシャキとした食感と、口の中に広がるほのかな甘味が格別やで。

※これは2023年8月現在の情報です。

住所:大阪市中央区難波3-1-34
アクセス:大阪メトロ御堂筋線なんば駅から徒歩3分
https://www.jiyuken.co.jp/

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